【後編】フィリピンの若手アーティストにハマってやっぱ好きやねんな話
結論から言うとマイケルの通っているスポーツジムにはたどり着けなかった
いろいろあったので順を追って書いていく
(めちゃくちゃ長文です、ごめんなさい)
これまでの流れと目的地の変更
マイケルのジムを特定するためにこれらのことを行なった
1. マイケルのinstagramにリストバンドのロゴを強調する写真を見つける
www.instagram.com
2. スポーツジムのオリジナルブランドではと予想
3. Google mapでJFITを検索。一件ヒットする。
しかし、別のSNSでも検索をかけたところ場所を間違えていることに気が付く
1. instagram上でJFITを検索
2. JFITのオフィシャルアカウントを見つける
3. アップしている写真にマイケルを見つける
www.instagram.com
4. 住所を調べるが当初ヒットした場所とはまったく違う場所が表示される
(注意:世間ではこれらの行為をする人間をネットストーカーと呼んでいるよ)
片道60分のドライブへ
新しくヒットしたに場所はケソンシティのホーリー・スピリット・ドライブ通り(どこやねん)
ホテルから片道30分の距離にある(渋滞で1時間かかる)
マイケルは本当にこんなところまで通ってるのか…?
さらにGooglemapではスポーツジムらしきものは見当たらない
まあ、とりあえず行ってみたら、何か手がかりが見つかるかも。
Grabを使ってタクシーを呼んだ
Grabとはタクシー配車アプリでフィリピンではマニラやセブ島で使用可能らしい
(ちなみにスービックでは使えない)
私がマニラに行くことを知った生徒から教えてもらった
これがめちゃくちゃ便利だった
- アプリをインストールしてアカウントを作成
- 乗車地点と降車地点を設定
- クレジット登録は不要(というかキャッシュの支払いしかできなかった)
- 運賃はタクシー予約をした段階で提示された金額を渡せばOK(運賃をぼったくられる心配なし!)
- ただし、相乗りになるので知らない人が乗っていることもある
▲手配開始前に料金が提示されるのとドライバー評価が見れて安心
タクシーはどんどん都市部から離れ、風景は一段とローカル色が強くなった
こんなとこに外国人なんかいるはずもなく…
いろいろ不安になってきた
目的地の”JFIT”に到着!
わたしの用事はすぐ終わるからちょっと待っててよとお願いするとそれはできないとのことだった
別の目的地に行く際は再度Grabでタクシーを呼ばなくてはならないルールだそうだ
チップも兼ねて運賃を少し多めに渡しておじさんと別れた
目的の場所はさびれた雑居ビルで外からはジムが入っている感じは全くしない
エントランスに警備員が立っていた
「何しに来たの?」と聞かれたので「フィットネスジムに」と言うと不思議そうな顔をして「プロテイン?」と聞かれたので「あーそうそう」と適当に答え「2階だよ」と教えてくれた
日曜日だからか他の事務所なのか店舗なのかは閉まっておりやっとJFITに到着した
ドアを開けると手前に机が2台向かい合わせで並べられており女の子が働いていた、というかスマホをいじってだべっていた
店内は奥まで商品がずらっと並べられておりジムの面影すら全くない
Instagramの写真を見せて「あの、このリストバンドと同じものが欲しいんですけど」と言うと「欠品してるのごめん」と言われた
「あー、そうか」と残念がってみせた
そして、いよいよ例の話題を切り出した
「あの、ちなみにこのマイケルの背景に写ってるジムってこのへんかな?」
「さぁ、知らない」
しらばっくれやがって!
そう思ってさらにねばったが「いやいや、マジ知らねーっつの」とうんざりされたので引き下がった
JFITはスポーツ用品のブランド名
そしてうっすら気が付いてはいたが、このロゴはスポーツジムじゃなくてスポーツ用品のブランドなんだと…
店員に他の商品を勧められ「JFITのスポーツ用品を買えるのはフィリピンでここだけただから」との売り文句を聞いて確信へ変わった
どうやらJFITはオリジナルのスポーツ用品のブランド名でこの店はスポーツ用品の開発・製造をしている会社のオフィスのようだ
JFITとJFITのスタッフはマイケルの通っているスポーツジムとはまったく無関係だった
ネットに落ちてる情報だけで十分この結論には行き着けたはずだが、マイケルに近づきたいがあまりに脳内で自分の都合のいいように解釈してしまっていた
なんなら偶然マイケルと遭遇する妄想までしていた
だんだん恥ずかしくなってきて、さもマイケルの商品を買いに来ただけの客を演じることにした
「マイケルがイベントで来てたこの服が欲しいんだよねーサイズはこれだけなの?」と別の写真を見せた
www.instagram.com
▲写真左側がマイケルと同じ服と思われる
「Sサイズあるよ。試着室もあるから使ってよ」
案内された場所はカーテンの仕切りがあるだけの小さいスペース
「鏡ないけどね」
鏡ないんかい!
とりあえず着てみたが、いいのか悪いのかいろいろ判断できる状態ではなかった
わたしの浅はかな下心が彼女たちにバレていてクレイジージャパニーズをからかっているのではないか、と被害妄想がすごいことになっていた
「買いますー」と女の子に伝えて550ペソを渡した
そして「これサービスねっ!」とプロテインの試供品をもらった
「え、あ、ありがと…」
▲なぜプロテイン…?!
あえてプロテインを渡してわたしの困惑したリアクションを楽しんでいるのか…?
親切心なのか、からかわれているだけなのか…?
分からなくなってきた…もう分からなくなってきた
ぐったりして店を出た
階段を降りずに少しフロアに留まった
店員の女の子たちの「あの日本人ありえないんですけどぉー!」という笑い声が聞こえてくるんじゃないかと思ったからだ
しばらくドアを睨みつけていたが杞憂に終わった
ケソンシティの人々との交流
そして、Grabでまたタクシーを呼んだ
すぐに見つかり、8分で着くと出た
よくよく辺りを見渡すと背の低い建物ばかりで個人商店が軒を連ねていた
喉が渇いたのでサリサリストア(コンビニのような個人商店)で水を買った
女の子は突然の外国人の来店に驚いていたが笑顔で接客してくれた
15ペソだったが20ペソ札しかなかったのでお釣りはいいよと言うと喜んでいてすごく可愛かった
この街のメインストリートはわずか数百メートルなんだろうけど、のどかな雰囲気と人の感じは結構好きだ
そして、自分のここまでの愚行を振り返っていた
どうにかしてマイケルの場所を聞き出そうとしていたが、そもそもただの店員が知るはずもない
例えば日本の芸能人がジム通いしている写真をSNSにアップして、その写真から勝手に当てをつけてジムに突撃するとか狂気の沙汰だ
明らかに冷静さを欠いていたと情けなくなって次第に笑いがこみ上げてきた
この話をとにかく誰かに聞いてほしかったが、タクシーの兄ちゃんはずっと友達と電話していた
途中でタクシーが止まって別の客が乗ってきた
大柄な男の人で長髪とヒゲというむさくるしい見た目だった
チャンスと思い「ハロー!」と挨拶したがさらっと無視された
男性客はあきらかに動揺していた
こんな都市部からだいぶ離れたローカル地になぜ外国人が…
youは何しにケソンシティに?という顔でこちらを見ていた
こっちだって知りたいぐらいだ
わたしが「元気?」と話し出すきっかけを作ろうとしたが愛想笑いされ、その後まったく目も合わせてくれなかった
そんな状況もひっくるめてさらにおかしさがこみ上げてきた
必死に笑いを噛み殺そうと、うつむき肩を震わせて我慢していた
男性客はそんな私にさらに恐怖を抱いたのか狭いタクシーの中でわたしとの距離を最大限にとり、身を強張らせていた
彼は早く降りたかったのか、しきりにドライバーの方をチラチラ見ていた
だが、ドライバーはおしゃべりに夢中で気付かない
タクシーが止まると運賃を勢いよく渡し走り去ってしまった
彼にとってはちょっとしたホラーだったのかもしれない
そんなことを思いながら窓に広がるマニラの景色をぼんやり眺めていた
富裕層のいる高層ビル群と貧困層のトタン屋根の家々が川を挟んで並んでいる
みちみちにつまった車の渋滞と閉め切った窓からも聞こえるけたたましいクラクションの音
マナーを守らないドライバーの危なっかしい運転
そんな車の間をぬって裸足の男性がお菓子はいかがと練り歩き商売している
なんてたくましいんだフィリピン人
スービックに戻ったらマイケルとお揃いのウェアを着て彼の曲を聴きながらランニングしよう
その前にプロテインを飲まないと、プロテインを…